猫又四郎の奇怪幻想見聞録
「僕に会いたかったんですか?」
こくり。
「僕とあなたは、“同じ”ですものね」
こくり。
「ところで迷蓮(めいれん)……ああいや、本名の方がいいですかね」
こくっ、こくっ。
嬉しそうに何度も頷くひょっとこ。面はあれですけど、この仕草が堪らなく可愛い。
「それじゃあ、【淡唐】(たんから)。一緒に散歩にでも行きましょうか」
こくこくこくっ!
ぎゅうっと腕に絡みついてくる淡唐(たんから)の頭をよしよしと撫で、僕らは更に森の奥深くへと入っていった。
ちょっとだけ、“同じ”事情同士での話もしてみたり。