猫又四郎の奇怪幻想見聞録
『明上森(あけがみもり)の森の奥。奇人変人が現れた。取って喰われるだとか云々……』
くだらない。
しょーもなすぎて笑える。
いや、笑える状況じゃないんだけどね。
ーぎゃあ、ぎゃあ
ーバサバサバサッ
「ひっ……いやああああああっ!」
それはただのカラスの鳴き声、そして羽ばたく音だというのに。
ただそれだけなのに、雰囲気ありすぎてつい悲鳴を上げてしまう。
こ、怖すぎるしっ。
冗談じゃない!
ガクガク足を震わせながら、ゆっくり、ゆっくりと森の中を進んで行く。
すると、奥に小さな家があることに気づいた。青い屋根に白い壁の、こじんまりとした小さな家。
人ひとり住むには十分だと思うけど、ふつうの親子3、4人では狭いくらいか。