猫又四郎の奇怪幻想見聞録
死ぬことは怖くない。けど、
「とっても名残惜しいですね。死ぬことは、つらく寂しい」
「………。」
互いに自然と顔を合わせる。
淡唐(たんから)はひょっとこ面をつけているため、目が合っているかどうかは分からないが。
「僕はとても幸せですよ、淡唐」
「………。」
名残惜しそうに、されどすんなり手を離す淡唐。
ふわり、霧が出てきた。
「また、会いましょうね」
最後の最期まで、やっぱり無口か。
相変わらずだなと、苦笑して手をふろうとすれば。