猫又四郎の奇怪幻想見聞録
自分でも、なに聞いてるんだと混乱してしまう。だけど、勝手に口から出てしまったものは、しょうがない。
猫又くんは顎に手をそえ、私に目を合わさず口を開いた。
「そもそも、僕は人が好きになれませんから。『好き』とは無縁ですね」
「ー………そっ…か」
なのに、ショックを受ける自分がいた。
勝手に口から出た言葉、にも関わらず、少なからず傷ついた。
猫又くんは、高嶺の花。
野良猫の私では届かない存在。
こうなることは、分かっていた。