猫又四郎の奇怪幻想見聞録
*
野良さんが飛び出していった。傘も置いて、この土砂降りの中。
「追い掛けなくていいんですかー?」
「……っ、いつの間に」
ソファーに座って紅茶をすする愚弄人。さも当たり前にいることが、ムカつく。
「……僕が行っても、きっと傷つけてしまうでしょうから」
「やれやれ、四郎は女心がわかってないですねえ」
「あなたに言われたくない」
「それこそ、そのままソックリ四郎に返しますよ」
「っ……」
射るような視線に、ついつい目をそらしてしまった。
野良さんが飛び出していった。傘も置いて、この土砂降りの中。
「追い掛けなくていいんですかー?」
「……っ、いつの間に」
ソファーに座って紅茶をすする愚弄人。さも当たり前にいることが、ムカつく。
「……僕が行っても、きっと傷つけてしまうでしょうから」
「やれやれ、四郎は女心がわかってないですねえ」
「あなたに言われたくない」
「それこそ、そのままソックリ四郎に返しますよ」
「っ……」
射るような視線に、ついつい目をそらしてしまった。