猫又四郎の奇怪幻想見聞録

そっと肩に手を触れさせてみれば、驚くほど体が冷たくなっていた。

まるで、死人のよう。



「……猫又くん、ごめんね」

「え?」


「ごめん、ごめんね。忘れていいよ。むしろ忘れて」



何をですか?

先程の言葉?ですが、あなたの『忘れて』はまるで……


自分を否定しているようだ。

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