猫又四郎の奇怪幻想見聞録

すやすやと眠る野良さんの頭を撫で続ける愚弄人。



「記憶を消せば、ノープロブレムです」



その温かい表情に似つかわしく、ひどく残酷な言葉がその口から発せられた。



「は…?」


「あの記憶があるから、りょーこちゃんは思い悩んでいる。つまり、消せばいい。りょーこちゃんの中にある、四郎の知らない感情を」


「僕の知らない感情……」



それが『恋愛感情』だということを、疎い僕には分からなかった。

野良さんが、誰かに、そういう気持ちを抱いていたなんて。


何故かこの時、ドクンと胸が鳴った。

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