猫又四郎の奇怪幻想見聞録
ところが愚弄人は何も言わない。ニヤニヤして僕の方へと視線を向けてくる。
分かりたくもないのに、分かってしまう。
僕に全部押しつける気なんですね、つまりあなたは。
溜め息をつき、野良さんの前でしゃがみこみ、そうして目線を合わせた。
「僕はここの管理人です。以後、お見知りおきを」
「? えっと、ここってどういう所なんですか?っていうか私、なんでここに………。
あ、あなたの着ている制服。私と同じ高校なんですね!年上、ですか…?」
僕のことも『消された』のか。
それはまあ、当然か。僕のせいで野良さんは傷ついたのだから。
少し胸の奥がジィンとしたけれど、それがどこからくる痛みなのか、僕にはよく分からなかった。