猫又四郎の奇怪幻想見聞録



「すみません、僕、興味ないことは記憶しないタイプなもので…」


「へ、へえ。器用なんだねっ」



引きつる笑顔で対応する私に、猫又くんは申し訳なさそうに、されど言っていることは酷く鋭利だ。



「(つまり私はどうでもいい存在ってわけね…っ。なにこの温度差っ!)」



実を言えば、猫又くんには『ミステリアス』という理由で隠れファンがいるのだ。

しかし、私たちの通う県立高校には既にアイドルと呼ばれる存在がいるため、猫又くんは同学年の中でちょっぴり有名な程度。

惜しい人材だ。



ところ変わって。

猫又くんと私が出会ったこのこじんまりとした青屋根に白壁の家。


ふと入ってみれば、なんとも可愛らしい、それでいて奥に行けば行くほどクールな雰囲気の出る、喫茶店のような風貌だ。

< 7 / 101 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop