猫又四郎の奇怪幻想見聞録
そんな思いを胸にしながら、「お邪魔します」と言って一歩足を踏み入れた。
青い屋根に白い壁というメルヘンな外装とは異なり、内装は落ち着いたクールな雰囲気でダンディな大人を思わせる。
…もっとも、猫又くんにはダンディなんて言葉、似合わないんだけども。
ミステリアスで、落ち着いていて、それでいてどこか疎外感を感じて、急にどこかへふらっと消えてしまいそうな…
「どちら様ですか?」
「あ、」
「あ、」
「…久しぶり、猫又くん」
「…久しぶり、ですね。野良さん」
名前の通り、彼は猫のようだ。
しかもひどく妖しげな雰囲気を持った……。
猫というより、ほんとにそのまんま。
彼は猫又なんじゃないかと疑ってしまう。