猫又四郎の奇怪幻想見聞録
なんて冗談。
笑えないんだけれど。
「奥のカウンターへどうぞ」
「あ、うん」
促されるままに猫又くんについていき、くるくる回る椅子に腰かける。
私が座ったと同時に、猫又くんはカウンターに可愛らしいカップを置いた。
湯気がふわふわとたち混み、ふっと消えて。ぐるぐると模様を描いたミルクには芸術性を感じる。
猫又くんお手製のコーヒーだ。
「い、いただきます」
「どうぞ」
猫又くんに見つめられながらも一口すすった。こくん、喉を通る。
「(あ、おいし…)」
数回だけ猫又くんの淹れたコーヒーを飲んだことがあるんだけど、いつ飲んでも美味しい。
中毒(クセ)になってしまう。
もう、中毒になっていそうな気もするんだけどね。