夏の日のラブソング
「何で此処に居るんだ」
「理由なんてないですよ」
「海しか、何もないだろう?」
「何もないことないです。私は、ただ海を見ているんです」
広い海は、自由。
海のように、なりたい。
そう、何度思ったことか。
「心が、海に癒されて。苦しみを忘れそうな気がするんです」
自由だったなら、私は何をしていただろうか。
自由だったなら、今私はここに居ないだろう。
自由だったなら、私はどんな姿だっただろうか。
幾度となく、考え、憧れた。
自由を、手にしたかった。
それは、
―――一生かかっても手に入れることのできないもの。
「何か、辛いのか?」
「…いえ。ただ、自由が欲しいだけ」
「…自由は時に苦しいと思うがな」
「高校を卒業してから、私には進路なんてものはなかった」