大切な君に捧ぐ歌
真田くんの手は、細くてスラッとした手なのに握る握力は強い。
きっと、どきどきしているのは私だけだろうけど。
知らない間に部室の前に立っていた。
「開けるぞ」
「いや、ちょ、ちょっと待って!!心の準備が…」
私なんかお構い無しに、部室の扉を開けた。
「はいはい!注目!」
「なんだよ、誠」
「えーと、このバンドのファン第1号を紹介します」
私の鼓動が早くなる。
「河村みつばさんです」
恐る恐る、憧れの部室に入った。