偽りと真実~scrabble~


一樹の部屋は居間を通って一番奥にある部屋だった。
綺麗に片付いていて、豹柄で揃えてある部屋。

私はベッドに、みさはベッドの下に、
一樹はベッドによしかかるように、
まさくんは座椅子に、それぞれ座った。

少しの間他愛もない会話をして、
一樹は冷蔵庫から大量のお酒を取り出した。

それをまさくんが私達に配り、
今日で二回目の乾杯をした。

お酒が入るとみんな自由に話はじめ、
特にみさとまさくんは騒いでいた。

完全に酔っ払ったみさはまさくんに絡んでいて、
そんな二人を見て私は笑っていた。


───ドクンッ…────

(えっ…………)

すぐ近くから視線を感じて………

横を見ると一樹…………
でもどこか冷たくて…私を見ているのに、
やっぱりその目には何も写していない………

───ドクンッ…────

「…なっ…なに…?」私が聞くと

「お前、酒つえーの?」

「…そーでもないよ?」

「ふーん、俺横になるわ、奥行って」

(えっ……………)

私はベッドの奥におされ、、、
隣では一樹………

───ドクンッ…────

やめて……鳴らないで………
近すぎて……聞こえちゃう…………



あなたは何を思っていたの?
私は今にも壊れてしまいそうだったよ。
あんなにも近くにあなたがいたから……
遠いと思っていたあなたが……
すぐ近くに……私の隣にいたから………


その日はみんな一樹の部屋で寝ていた。
ずっとこのままでいたい……
おやすみ…一樹………


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