偽りと真実~scrabble~


私はまっすぐ自分の家に向かった。
7月にもなれば外は暑くて、
汗ばんだ体に服がまとわりつくのが気持ち悪かった


家につくと、やっぱり誰もいなかった。
両親は共働きで、年子のお兄ちゃんは学校で、
遅くまで部活を頑張っている。
八歳離れた妹は母の会社へついて行ってる。

「ただいまぁー…」

返ってくる返事はない。
可愛い二匹の愛犬、"ひま"と"すず"だけが
私の帰りを喜んでくれる。


階段を上がり、自分の部屋に入るとすぐに
ベッドに飛び込んだ。

ケータイを見ると将太からメールがきていた。
昨日抜け出しちゃったからなぁ……


<昨日ごめんね、みさと遊びに行ってたよー!!>

一応謝りのメールをしておいた。
気づけば私は夜まで眠っていた。


騒がしい声と、体に痛みを感じ目を覚ました。
ベッドの横には母が立ってて。

「学校もまともに行ってないんだから!
家事ぐらいやんなさいよ!!」

と、叫びながら、蹴りやパンチが飛んでくる。


(はじまった…………)

いつものことだった。
私はなにも言わずに階段を下りて、家事をした。

その間母は、ソファーに寝転がりながら
お菓子を食べ、テレビを見て笑っていた。


でも今日はまだ機嫌がいい方だった。


普段は違った。

私の居場所がない…………
私は愛されてない…………
誰からも…………

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