偽りと真実～scrabble～

それなりにお酒も回りはじめてボーッとしていると、たまに蘇ってくるの。あの遠い日々の……
幼い日々の記憶が………。

私は決まっていつも泣いている。
それを周りの大人や友達は笑って見ているの。
｢なんで……どうして……わからないよ………｣
ただ枯れることのない涙をながしている。


｢─…ゃん!!……ゃんって!!ひーちゃんってばぁー!!｣
みさの声で現実へと引き戻された。

私の消えないものが。一つ一つ現れる。
過去は消えない。傷なら尚更。

不安そうで少しふてくされている表情をしたみさが
覗きこむように私を見ていた。

｢あー…っごめんね｣
｢もぉ～っ!!ちゃんと聞いてよぉ～!!｣

みさはずっと一人で話していたみたい。

突然みさは言った
なにか楽しそうに、企んでるように

｢ひーちゃんにいいもの見せてあげるーっ♪
見て見てっ♪｣

私にケータイの画面を向けてくる。
そこに映っているのは数人の男の人。
みんな笑っていて、楽しそうで、、、
でも、この人だけは違う………
私は何かに引き付けられたみたいに、
目が離せないの
数人の中のたった一人の男の人から………

髪は明るく金髪で、ピアスが耳や鼻や口にまでいくつもあいていて
第一印象は"チャラ"かった。

鼻が高くて、綺麗な二重で
スラッと伸びた長い首筋、細い体………

ケータイの画面の中ではみんな
笑っている………はずなのに、笑ってない。

｢ねぇねぇ、どれがかっこいい?!
ひーちゃん彼氏いないならこの中の人
紹介してあげるよっ♪｣

(チャラい)

こういう子嫌い。…たけど……──

｢この人なんかどお～??みさの学校の
一つ上の先輩♪"一樹"くんっ♪｣

と言いながらみさが指差した人は、、

───ドクンッ…───

｢えっ……この人……一樹…くん……??｣

私は少し動揺している口調だった。
自分でもよくわかるくらいに。

｢一樹くんモテるんだよーっ♪
みさの学校のアイドルなんだぁーっ♪｣

みさは楽しそうに話す。

ねぇ………

なんでみさは紹介なんかしたの?
この時から何か企んでいたの?

"運命"じゃなくて
みさの"悪戯"だったの………?