偽りと真実~scrabble~


「なぁー!一樹もこっちこいってーっ!」
まさくんが呼ぶと一樹くんはゆっくり立ち上がり
重たそうな足取りでこっちに向かう。

「みさ知ってるーっ♪一樹くんでしょ?☆」

「おう、一樹でいーよ」

──ドクンッ…───

「お前は?」

(えっ…………)

「光…です…よろしく……」

「おう、一樹でいーよそれと敬語やめろ」

「あっ…うん…──」


これがはじめての会話だったね。
あなたに見つめられて、
あなたは目をそらなくて……
暗くてよく見えなかったけど、、
綺麗な瞳をしていて……でも、何かを
見下すような……その目には何も写していなくて
人形のような目で…………


4人はしばらく公園で世間話をしていた。

気がつけば私はまた"記憶"を蘇らせていた
遠い日々の……幼い日々の…………
あなたと同じような目をした人達が、
私から離れていくの………好きだったみんなも……

(置いていかないで……どうして……
もお一人は嫌だよ………)

やっぱり私は泣いていた。枯れることのない涙を
ただ一人寂しく流している。


「……っ!!…っよ!!…いくよーっ!!」

みさの声だった。

「…っえ…ひー…ちゃん?」

心配そうな顔で私を見つめるみさ。
私は一筋の涙を頬に流していた。

「ひーちゃん……泣いてるの…?」

まさくんと一樹は遠くで煙草を吸っている。
みさは私を心配していた。

「いや…大丈夫。…ごめんね」

「大丈夫ならいんだけど…とりあえず…いこ?


私達は一樹たちのいる方へ歩きだした。
< 9 / 16 >

この作品をシェア

pagetop