日々是淡々と‥
というのも、まわりにいる
ほとんどの社員が、
由香里の生きてきた世界とは
まるで正反対の、『学歴』や
『バックグラウンド』とは
全く無縁の世界でただ
自分だけを信じて生きて
きた人達だったので、
由香里は驚きと共に何か
ものすごく新鮮なものを
感じたからだった。

 由香里が最初に配属された
のは営業部だ。

宅建(※『宅地建物取引主任者』の略)
という資格を持っていた由香里は、
契約業務の担当になる予定だった
のだが、すぐに契約担当として
の役には立たない。

そこで最初の半年間は、
勉強を兼ねて営業マンと
一緒に顧客の家に行って
実際の契約に立ち会って
仕事を覚えるように
言われたのである。
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