日々是淡々と‥
別に毎日毎日、貯金通帳を
眺めながら暮らして
来たわけではない。

元々裕福な家庭に育った
わけではなかったが、
本来セコイ人間ではない。

ただ、『分相応』をモットー
に長年無理をしてがんばって
きた成果である。

ただ由香里と典子に出会って
からは、彼女達とのミーティング
が亜由美の唯一の楽しみになった
ので、その時はもちろんお金を
惜しまない。

 でも、やはりどうしても
この先の不安はぬぐえない。

通帳をしまうと、手に持って
いた発泡酒をぐいっと一気に
飲み干した。

 「ぷはぁ~っ!げふっ‥。」

ぐしゃっと缶を握りつぶすと、
立ち上がって流し台に放り投げた。

 そして、冷蔵庫からもう一本
同じ缶を取り出してまた
プシュッと蓋を開けると
ゴクッと一口飲んだ。

買ってきたポテトチップスの袋を
ビリッと開けて二枚ほど摘んで
口にくわえるとティッシュで
手を拭いてテレビゲームの
スイッチを入れた。

大好きなロールプレイング
ゲームだ。

秋の夜長の大切な遊び相手である。
今夜も夜更かしになりそうだ。
 

 
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