日々是淡々と‥
三人のミーティング?
二週間後の金曜日。
 【ミーティングの当日】

銀座に向かう電車の中に典子はいた。
平日の夕方、都心に向かう電車は
比較的空いていた。

 典子が座った席の向かい側に、
郊外にある遊園地からの帰りと
思われる親子連れが乗っていた。

 30代前半と思われる夫婦と
5歳くらいの息子だ。

息子と遊んでいるのは旦那の
母親と思われるおばあさんだった。
顔がそっくりだ。

色白でメガネの旦那は、
今ひとつぱっとしない風体で、
ノーブランドのスポーツシャツに
ジーンズ姿。

反対に妻はなかなかはっきり
した顔立ちのスラットした
美人で、彼女の洋服は
ランド物のスポーツウェアに
ジーンズだった。

『なんとなくミスマッチねぇ。』

見るともなく、典子は視界に
入る家族にそんな印象を持った。

 駅が都心に近づくに従い、
段々混雑してきた。

前の親子は通常なら大人6人は
座れるであろうスペースに荷物を
広げゆったりと腰掛けて
くつろいでいる。

まるで、自宅のリビングに
いるようだ。席を譲る気配は
全くない。

 その様子があまりにひどい
ので、典子は思わず顔を
しかめて妻をにらみつけて
しまった。

 妻と目が合った。
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