日々是淡々と‥
待ち合わせ場所に一番に
到着するのはいつも仕事を
していない典子である。

 数寄屋橋の交差点にある
交番の前に着いたのは
午後五時過ぎだった。

 待ち合わせ時間まで
まだ一時間以上あるので、
二人に何か小さなプレゼント
でも買おうと典子は、
デパートに向かった。

平日だというのにかなりの
人出だ。
久しぶりに都心に出てきた
典子は人ごみにいささか
戸惑いながらハンカチ売場を
のぞいていた。

しばらく色々見ていたが、
ピンと来ないので、
アロマオイルや御香の
売場を探し始めた。

 『二人とも、仕事大変
そうだから‥やっぱり
ほっとする系がいいわよね。』

 売場は思った以上に品揃えが
豊富で、色々夢中になって
試しているうちに典子は
すっかり時間を忘れていた。

買物を終えて時間を確認して
驚いた。

まもなく六時半になるところ
だった。

慌てて、携帯を取り出すと
30分ほど前に亜由美から
のメールが届いていた。

 『今どこ?私はあと15分
ほどで到着するよ♪』

 「あ、やばい。」

典子は急いで返信した。

 『今、4丁目の丸越デパート。
すぐそっちに向かうわ。』

 すると、すぐに亜由美から
電話がかかって来た。

 「もしもぉーし。お店も
そっちの方だから私が今
そっちに行くわよ。」

 「あ、そうなの?ごめん、
ごめん。じゃあ、一階の
入口にいるね。」

 「うん、了解。」
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