フェンス越しの背中

始まりは突然

入学した翌日から
早速部活勧誘が始まった。

席が隣りになった
サアヤがマリナに
楽しそうに話し掛ける。


「マリナは部活どうする?」

「帰宅部で良いや~」


満員電車に
2日連続で乗ったマリナは
学校に嫌気がさしていた。


「あぁ~早く帰りたい!
 超ホームシック!!」

「じゃあ帰ろうよ。
 でも、その前に
 バスケ部に入部届けを
 出しても良いかな?」

「帰れるなら良いよ」


入部届けを出す為に
マリナとサアヤが
バスケ部の部室を目指す、
その時…


「野球部マネージャー
 募集中で~す!」


いきなり名簿を差し出され
2人は足を止める。
目の前には知らない先輩。


「バスケ部入るんで」

「名前書いてくれる
 だけでも良いからさ」

「でも…」


先輩は2人の前に立ち
通してくれそうにない
恐らく著名するまで
退いてくれないだろう。


「じゃあマリナが書くよ」


困り果てているサアヤを
見るに見兼ねたマリナは
仕方なく名簿に著名する。

これで入部が決った
と言う事ではないだろう。

そう思っていた。
が、それは
大きな間違いだった。
翌日の放課後、
先輩3人に取り囲まれ
マリナは野球部室に
連れ込まれるのだ。

野球部の
マネージャーとして。
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