フェンス越しの背中
第2章*体験入部

最初の退部者

「1週間は体験入部
 みたいなもんだから」


と先輩に説得された
新1年生マネージャーは4人
同じクラスのアイ
可愛いアサミ
身長の小さいナホ
そしてマリナだった。


「体験なら…」

「辞めさせて
 くれそうにないし」


アイとマリナは
渋々練習初日に
参加する事にした。


「練習は土手でやるから」

「えっ、学校じゃ
 ないんですか?」

「うちの部は弱いから
 強い部が優先的に
 グランドと体育館が
 使えるの」


と言っても、
学校近くに土手は無い。
電車に乗って4つ目の駅…
そこから徒歩で10分。


「これで近く?」

「私交通費かけてまで
 部活やりたくないよ」


アイは学校近くに
住んでいる。
マリナは運が良いのか…
通学途中の駅だった為
定期券内だったので
交通費は0だ。


「アイ…、
 マリナの事は良いから
 先輩に言って辞めなよ
 毎日交通費出して
 部活に出るなんて
 勿体ないよ!」

「ありがとう
 ごめんねっ」


そしてアイは
その日の内に退部した。
最初の退部者だった。
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