新 抱かない男の見分け方
最終回 セックスレス・カップルは耐震偽装の一戸建て!
 夫や恋人から受ける愛の証は何ですか? 優しさ、笑顔、経済力、プレゼント、家事の手伝い……、たくさん出てくることでしょう。でも私は思います。


 究極の愛の証は抱かれることです。


 愛している人とのセックスで得られる高揚感と安らぎ。それはまさに生きている喜びです。抱かれることで女性としての身体を意識し、こんなに気持ちがたかぶる自分、こんなに心地よさそうな顔を見せるパートナーに酔いしれることができます。そして、「カレが身も心もゆだねる女性は私しかいない」という確固たる信念が、ますます女性力に磨きをかけます。
 自分に自信が持てたとき、女はこれでもかというくらいに輝きを放ちます。愛の証を知りつくす女性に怖いものはありません。
 若いときからこのようなお互いに満ち足りたセックスを続けていれば、どんなに時間が経っても変わらぬ愛を貫くことでしょう。しかし、どちらか片方しか満足しないセックスでは、長続きはしません。そして待っているのは寒々しい夫婦の寝室なのです。

「周囲からは仲良し夫婦と見られています。でも、セックスはありません」

 それは、まるで耐震偽装のようなものです。
 セックスレスだとしても、なんとか日常生活を送ることはできるでしょう。子どもの前では仲の良いパパとママの姿でいられます。近所の奥様方からは「仲良しカップルでいいわねえ」などと噂されます。
 しかし、小さな揺れで、ピキピキッと関係にヒビが入ってしまうのです。柱の数も足りていませんから、壁が壊れると、なし崩しに夫婦関係も壊れていきます。
 セックスレスによって失うもの、それは信頼関係です。
 夫婦の関係を家に見立てた場合、セックスは外からは見えない基礎の部分です。子ども中心の暮らしや、経済的に不自由のない暮らしは、梁や柱となって夫婦の関係を支えるかもしれません。
 しかし、子どもが独立したとき、定年退職やリストラで困窮したとき、どちらかに魔が差して不倫をしたのがばれたとき、どちらかが病に伏せったとき、夫婦生活を支えるのは、しっかりとした土台。セックスを通して培ってきた愛情と信頼関係です。セックスレスでは基礎部分が浅くなってしまっているのです。
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