ほわいと*Canvas
だけど、久しぶりに見る東京の街は
鳴り響くクラクションの音や
行き交う人の波で溢れかえっていて、
まるで音の闇に呑まれてしまったような
感覚になる。
ぼやける視界の中、必死に足を
動かそうとしたけれど
砂場に足をとられたようにさえ感じ
思うように進めなくなってきた。
(はぁ、はぁ……どうしよう。
駅に戻ろうかな……)
そう思って立ち止まった時、
後ろから歩いてきた人に押される形で
私は倒れるように転んでしまった。