ほわいと*Canvas
「ねえ、大丈夫?」
(……え?)
声のした方に顔を向けると、
栗色の髪の毛に黒いサングラスを
かけた男の人が私の前に立っていた。
(誰だろう……?)
私が何も言えずに戸惑っていると、
その場にかがんでタオルを差し出してくれた。
「……ありがとうございます」
「具合、悪いの?」
「はぁ……」
その人からタオルを受け取ろうとした時、
私の視界がぐにゃりと歪んだ。
(あれ? 何か、変……)
そう思った時には私の体は前に倒れ、
その人にもたれかかる形になっていた。
その人が何か言っている声が聞こえたけど、
私はそのまま意識を手放していた。