君さえいれば、何もいらない





試験当日、私はインフルエンザになってしまい、別室で受けた。
面接も別だった。

だから、渚とも合わなかったし、だれとも会えなかった。

今まで家の自分の部屋で缶詰めになって勉強していたからだ。



――――誰かに会うのは、今日。
卒業式がはじめてだ。







「…渚」







私は、出来る限りのことはした。

私立だって、特別進学コースが受かり、先生に『奇跡』とまで言われたくらいだ。
だから、私は頑張ってよかったって。


そうおもった。




「…優季!」




渚。
どんな結果であっても私は、



「後悔しないように、頑張ったよ」




素直に、受け入れられる。




「そっか」

「うん」




頑張ったことには変わりないから。


渚も、笑ってくれていて。

私も、笑った。





――――クラスで写真を撮って、担任に挨拶をしてすぐに帰った。

渚と、明日。
合格発表一緒に行くって約束をして。





< 12 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop