君さえいれば、何もいらない
試験当日、私はインフルエンザになってしまい、別室で受けた。
面接も別だった。
だから、渚とも合わなかったし、だれとも会えなかった。
今まで家の自分の部屋で缶詰めになって勉強していたからだ。
――――誰かに会うのは、今日。
卒業式がはじめてだ。
「…渚」
私は、出来る限りのことはした。
私立だって、特別進学コースが受かり、先生に『奇跡』とまで言われたくらいだ。
だから、私は頑張ってよかったって。
そうおもった。
「…優季!」
渚。
どんな結果であっても私は、
「後悔しないように、頑張ったよ」
素直に、受け入れられる。
「そっか」
「うん」
頑張ったことには変わりないから。
渚も、笑ってくれていて。
私も、笑った。
――――クラスで写真を撮って、担任に挨拶をしてすぐに帰った。
渚と、明日。
合格発表一緒に行くって約束をして。