君さえいれば、何もいらない




「…知らなかった」




私は知らなかった。

だって、いつだって。
渚は、『○○高に絶対に行きたいんだ』って。

そう言っていたから。


なのに―――。




「それだけ、○○高にも行きたいけど、お前とも一緒に居たいんじゃないのか?」




――――私は一体、彼の何を見てきたのだろうか。


わかっていた。
ううん、わかっていたふりをしていた。

全然、何も分かっていなくて。


渚は、私と一緒に居なくても大丈夫なんだろうなって思っていたのは違っていたのだろうか。




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