最近、風紀がみだれてます (エピソード☆ゼロ)
禁句とヘンな女
柴高へは駅から徒歩で10分もかからない。
歩道に列を作るように、ぞろぞろと、みんなが同じ方向に進む。
ここまでくると、さすがにみんな同じ学校を受験するんだろうなって想像がつく。
「なんか、みんなオレより賢そうに見える」
コータがまたネガティブモードに突入。
「あ……海斗。ちょっとまって。靴紐、ほどけた」
その場でしゃがみこみ、靴紐を結び始めるコータ。
オレも足を止めた。
「大丈夫だろ、みんな同じように思ってんじゃねーの? オレらだって他のヤツらからしたら、頭良いように見えてるかもしんねーじゃん」
「そうかな?」
「そうじゃね? 多分」
「多分かよ……って、“多分”って何だっけ? probably…perhaps…えーと、綴り、大丈夫かな、なんか不安になってきた」
コータがまたブツブツ言ったその時。
「きゃ……落ちる!」
すぐ側で女の叫び声が聞こえた。
さらに続けて。
「危ない! マジ落ちるって!」
“落ちる”……だと?