最近、風紀がみだれてます (エピソード☆ゼロ)
「……」
しばらく黙って。
無言のまま、オレはペンケースの中から消しゴムを出し、投げ捨てるように穴の中に入れた。
「しょうがないから、つきあってやる」
「ふーん」
土をかぶせながら、コータがニヤつく。
「自分から誘っといてなんだけど。まさか海斗がこんなことにつきあってくれるとは思ってなかった」
「……」
「ここに来たい理由でもできた?」
「別に……」
ボソっとつぶやくオレの顔を見て、コータが驚いたように目を見開く。
「何で、赤くなってんの? ここ」
そう言って頬を指さす。
「は? なってねーし。お前、何言ってんの? つか、もう行くぞ!」
オレは立ち上がると、さっさと歩きだした。
冷たい風が頬に当たって、心地よかった。
慌ててコータが追いかけてくる。
「春から、同じ制服着てーな」
そう言って、オレの横で屈託のない笑顔で笑ってた。