最近、風紀がみだれてます (エピソード☆ゼロ)
その姿をぼんやり眺めながら考える。
オレを応援してくれた気持ちを自己満足だなんて決めつけて悪かったな……って、今は思う。
あの受験の日、校庭で飛び跳ねていた結衣って女の姿を思い出す。
立ち入り禁止の学校に忍び込んで、オレに“ファイト”ってエールを送ってくれた。
どこの誰とも知らないオレのために。
それを思い返すたびに、オレの胸は落ち着かなくなるんだ。
そして、今度会えたら、なんであんなことをしたのか聞いてみたい。
そんなことを考えながらぼんやりしていると、後ろからポンと肩を叩かれた。
「お疲れ」
コータだ。
「海斗いーな。モテモテじゃん」
わざとらしい。
全然、羨ましがってねーくせに。
今にも吹き出して爆笑しそうな顔してる。
言いたいことはなんとなくわかる。
第2ボタンだけが残されたオレの学ランは……。
モテるんだかモテないんだか、なんだかわからないような微妙な感じになっていたから。
――――――
――――…
そして受験勉強から開放され、思う存分ダラダラと過ごした春休みはあっという間に過ぎていき……。
4月。
オレとコータは同じ制服を着て、柴崎高校に入学した。