最近、風紀がみだれてます (エピソード☆ゼロ)
「さぁ」
オレは言葉を濁した。
「あたしは結構信じちゃう方だな」
そう言って彼女はにっこり微笑むと、いちごミルクを飲み始めた。
ストローを咥える唇の形に見とれてしまい、慌てて目をそらす。
どこ見てんだよ?
オレ……変態かよ。
てか、なんでさっきから、こんなドキドキしてんの。
このままずっとここでふたりでしゃべっていたいような……。
でも、そんなことしたら、オレの心臓どうにかなりそうってぐらい、なぜか息苦しい。
“結衣”……って、あの日以来、心の中で何度も呼んでいる名前を、今はまだ口にすることはできなかった。
「先輩、ごちそうさま」
余裕ぶった顔作って。
オレはそう言うと、飲み干したカフェオレのパックをゴミ箱に捨てた。