意地悪な彼が指輪をくれる理由




数日後、寝苦しい夜を越え、朝。

私はいつものように占いメールをチェックして起き上がった。

少しだけお腹が痛い気がするが、細かいことは気にしない。

たまにそういうことがあるけれど、しばらくしたら治まるから心配ない。

シャワーで寝汗を流し、母と朝食をいただいて身支度をする。

うーん、やっぱり下っ腹あたりが痛いような……。

そろそろ女の子の日だからだろう。

体調を加味していつもよりヒールの低いパンプスをチョイスした。

そして今日はたくさん売れますようにと、お気に入りのネックレスに願いを込め、家を出た。



ジュエルアリュールの商品の魅力を伝えるのが私たちの仕事だ。

そんな私たちが、ブランドに傷を付けてはいけない。

書き込みの件で迷惑をかけてからというもの、ブランドの名誉挽回のため、より上質な販売員になるべく努力を続けてきた。

それでも例年に比べるとブライダル商品の売れ行きは悪くなったが、頑張った甲斐あってその他の商品はいつも以上に売れている。

しかし売り上げは下がっているため、私はまだまだ頑張らねばならない。

バイトだからっていい加減に仕事をしてはいけない。

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