意地悪な彼が指輪をくれる理由
あーあ。
どうせ告白するなら、もっと可愛い格好でしたかった。
そうすればもしかしたら……。
なんて、考えるのはやめよう。
例え私がピンピンしていて、肌の調子も最高で、メイクの乗りがバッチリだったとしても、瑛士の反応は今と大差なかったはず。
「俺、真奈美のこと嫌いじゃないし、むしろ好きなんだけど。大好きなんだけど」
「知ってる」
「だけど現段階で、彼女とか付き合うとか、急にそんな風には考えられないっていうか……」
「わかってるよ」
「自分から手を出しておいて、俺最低だな。ごめん」
「いや、私こそ。こんなタイミングで逆にごめん」
私のバカ。
いずみと碧の結婚式も控えているのに。
気まずくなるのは必至だ。
ああ、痛い。
心も体も、様々なところが痛い。
明日退院するなんて、気が引ける。