意地悪な彼が指輪をくれる理由
私たちが開催する二次会の参加者は同じ中学の同じテニス部の人々がほとんどだ。
先輩、同輩、後輩。
特別ゲストに顧問だった先生。
イベントとしては、ビンゴと中学やテニス部に関するクイズ大会をやる。
今日は景品の品々を買うために、こうして休みを取ってまで二人で出かけているというわけだ。
「それにしても、風が強くなってきたな」
店内はポップな音楽が流れているが、それをかき消すように風の唸り声が響いた。
「台風来てるからね」
そう。
せっかく瑛士と休みを合わせたのに、外は生憎の雨。
それだけならまだしも、これから台風が上陸するという。
天気予報で見たけれど、関東地方は予想されさている進路にすっぽり収まっていた。
なんというタイミング。
さては瑛士、雨男だな。
「さっさと必要な物を買うぞ。早くしないと帰れなくなる」
「はーい」
素敵な雑貨屋を堪能したかったけれど、嵐になる前におもちゃ屋と電気屋にも行かねばならない。
私は瑛士が促すまま、目的の売り場へと向かった。
「あ、これかわいい」
「……もう勝手にしろ」