意地悪な彼が指輪をくれる理由

雑貨屋を出て、おもちゃ屋に行き、電気屋を出た頃にはもう夕方近かった。

どこへ行ってもフラフラ見て回ってしまう私。

買い物はほとんど瑛士が済ませてくれた。

「お前は一体何のために来たんだよ」

瑛士は文句を言いながら車を発進させた。

役立たずの私は助手席で頬を膨らませる。

「二次会のため」

「ちっとも働いてねーじゃんか」

「だって滅多に行かない店だから、楽しかったんだもん」

瑛士は呆れて笑いを漏らす。

チラリ、横目で瑛士を観察。

右手で頬杖をつき左手でハンドルを握っている。

……カッコイイな、ちくしょうめ。

こんなにカッコ良くなるってわかってたら、中学の頃にどうにかなっておけばよかった。

中学時代の私のバカ!

どうして瑛士じゃなかったのよ!

ああ、もう泣きたい。

この空のように。

ていうか雨風強いな。

車がたまに揺れる。

「あ、そうだ」

瑛士が前を向いたまま呟いた。

そしてアクセルを踏んだまま器用に片尻を浮かせ、ポケットから潰れた紙袋を取り出す。

そして私に差し出した。

くしゃくしゃだし、ペタンコだし。

「なにこれ?」

「やる」

……え?


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