意地悪な彼が指輪をくれる理由
この後味の悪い感覚に覚えがある。
中学の卒業式の日、瑛士が告白したあとだ。
瑛士は私を好きだと言ってくれたのに、私はそれに対して文句をつけた。
売り言葉に買い言葉で言い合いになって、意地の張り合いは悪い方に進んだ。
やがて軽かったはずのケンカが重いケンカになり、歩み寄ることなく別れた。
そしてそれから12年、一度も会うことはなかった。
あんなに毎日一緒にいたのに、一度も。
今、こんな別れ方をしたということは、また12年……もしかしたらそれ以上会うことはないかもしれない。
二次会は終わった。
私は振られている。
私たちにはもう、会う目的も口実もない。
「あーあー。本当に帰っちゃったね、あいつ」
秀士先輩がやれやれと言った感じにため息をもらした。
「ごめんなさい。私が帰れって言ったから……。私、瑛士の分まで働きます」
「何言ってるの。二人でやろう」
中学時代、秀士先輩の笑顔は私のイライラを吹き飛ばしてくれる特効薬だった。
どうやら今でも効くらしい。
「先輩、瑛士とのこと応援してくれるって言ってくれたのに。自分からダメにしちゃってすみません」
声が震えた。
こんなところで泣いちゃいけないのに。
今日は本当によく涙が出る。