意地悪な彼が指輪をくれる理由
ジュエルアリュール。
ジュエリーショップ、つまり宝石店ではあるが、そんなに高価な店ではない。
宝石類や貴金属を若い女性にもファッション感覚で身に付けてもらいたいという願いから作られた、カジュアルなブランドである。
商品の価格帯は数千円〜数十万円と広く、中でも最も売れるのは2〜3万円のもの。
それ以上になるとなかなか手を出し辛くなるのだろうけれど、商品の質も変わってくる。
私がいつも身につけているネックレスは、2年前入荷と同時に一目惚れして即買った、ダイヤモンド合計0.4カラット(0.1×4個)・18金ピングゴールドのものである。
お値段にして、約5万円。
フリーターの私としては、思い切った買い物だった。
だけど2年間飽きもせずずっとこれを使っているのだから、良い買い物をしたと思う。
「いらっしゃいませ、どうぞご覧くださいませ」
本日、早番。
祐子さんがお休みの日なので、後輩のももこと交代するまで私一人での営業だ。
うちの店長、祐子さんと、隣のビジュ・プレリュードの店長、笹塚さん。
どちらかがいないと、とても穏やかに時間が過ぎて行く。
今日は特に静かだなと思ったら、隣の店長もお休みのようだ。