意地悪な彼が指輪をくれる理由



数日後、横浜市某所のオシャレなレストランにて。

「ねー、瑛士って今何やってるんだっけ?」

私が尋ねると、瑛士はものすごーく嫌な顔をした。

「その質問、5月に再会してから何度目だ?」

「覚えてない」

「いい加減覚えろ! 俺の職業はMR(エムアール)だ!」

ああ、そうそう、MRね。

聞き覚えだけはある。

だけど、これがなかなか覚えられない。

MRとか言われても、よくわからないし。

「何それ、ミスター?」

「ちげーよ! メディカル・リプレゼンタティブ!」

「英語で言われても意味わかんないんだけど」

そう思って、いつもスルーしてたんだっけ。

「ったく、お前が相変わらずバカだからだろ」

「結局何やってる人なの? バカにもわかるように説明してよ」

「日本語で言えば、医薬情報担当者」

「医薬情報? ああ、メディカルだ」

私の頭でも、少しだけ繋がってきた。

要するに、病院系ってことだ。

「幼稚園児にもわかるように説明するなら、おくすり屋さんってとこだな」

「ふーん。おくすり屋さんね。じゃあ最初からそう言ってよ」

「あのなぁ。おくすり屋さんにも色々あるんだよ」

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