意地悪な彼が指輪をくれる理由

「だって、もっと一緒にいたいし」

「え?」

なにそれ。なんか告白みたい。

酔ってるの?

それとも、新たな罠?

性懲りもなく期待してしまったから、傷つく覚悟を決めていたのに。

「別に、やりたいだけじゃないからな。お前といると楽しいんだよ、俺」

照れ顔でこんなことを言われると、また胸が痛くなる。

キュンとして痛くなる。

また余計に好きになる。

「私だって楽しいよ。中学生に戻ったみたいでさ」

だから瑛士も戻りなよ。

私を好きだった中学時代に。

「そうだな。真奈美がいればずっと笑ってられるから、辛いことも忘れられる」

だったら、ずっと私といればいいのに。

「私は瑛士専用のお笑いライブやってるわけじゃないんだからね!」

瑛士のためだけに、程よいタイミングでボケてあげるし、ボケたら全力でツッコんであげる。

「違う違う。俺たちコンビだし、相方だろ」

「あーそっか。いずみと碧のために、今のうちにネタ合わせしとかなきゃね」

「そうだな。だからとりあえず俺んち帰るぞ」

「いやん。家に連れ込んでどうするつもりぃ?」

「ネタ合わせ」

「だけ?」

「さあな。触ったり揉んだり擦ったり入れたりするかも」

「そういう言葉は店を出てからにしようか」

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