意地悪な彼が指輪をくれる理由
そんな私を、いずみが笑った。
「まあ、真奈美は元々勉強には向かないタイプだからね」
入籍前に実家に帰ってきたといういずみ。
地元の居酒屋で、資格の話をしたところだった。
「ハッキリ言わないでよ」
「今さら私に“大丈夫、真奈美なら絶対できるよ”とか言われたらキモくない?」
「……うん、キモい」
いずみはサバサバした性格で、みんなのお姉さん的存在だ。
私はそんないずみに喝を入れられながらここまで成長してきた。
資格の勉強を挫折しそうな今こそ、彼女の喝を頂かなくては。
「ていうか、どうして今になって資格なんか取ろうと思ったの?」
ドキッ。
私はまだ、いずみに瑛士とのことを話していない。
好きになってしまったこともだ。
「いや……ほら。私、結婚の予定もないことだし、手に職付けておかなきゃ、ずっとお一人様だった場合に困るでしょ?」
「ふーん」
疑っている声色だ。
ウェーブのかかった長い髪を指に巻き付け、ふと開放させた。
「なるほどね」
「えっ?」
なるほどって、何が?