SET
わたしと真心は100Mのタイムを計るためにスタートラインの近くに移動した。


「あ、せっかくだから短距離の先輩たちと走ってみようか」


森本先輩の言葉にわたしと真心は顔を見合わせ、「先輩たちさえよかったら、ぜひ!」と2人で声を合わせて言った。


「おっ、2人ともやる気が入ってるな。いいぞ――。よし、じゃあ高瀬と森本がそれぞれ入ってやれ」


高瀬……ってお姉ちゃんだ!

あの走りをこんな近くで見れるなんてかなり嬉しい!!

真心がわたしの心を読んでくれたらしく、自然な流れで真心と森本先輩が先にスタートラインへと立った。


「涼風が陸部に入るなんて驚いたよ。そのままバスケット続けるのかと思ってたもん」


小学生の頃は3年間、バスケットクラブに入っていた。

身長もそこそこあったから何気にエースなんて言われてたんだけどね。


「実はさ、お姉ちゃんの走る姿がかっこよくてずっと陸上競技に憧れてたの。だから、今日は手加減無しで全力でお願いします!!」


お姉ちゃんは笑いながら「了解」と言った後、すぐに真剣な顔つきへと変化した。




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