SET
本気で走ってくれる。

自分の心臓の音が耳に響いてくるのが分かった。

真心と森本先輩が走り終わり、ゴールの方で何か言われているのが見えた。

今の自分が100Mをどれくらいで走れるかなんて検討もつかない。

少しでもお姉ちゃんに追いつけたら……


「涼風、私に追いつけたら、なんて考えで走るんじゃないわよ。真剣に勝負したいんだったら、私に勝つつもりで走って」


そうだよ。

これは勝負だもん。

追いつけたらなんて考えじゃ勝つことなんて到底無理。


「わかった。わたし、負けないよ」

「そうこなくっちゃ」


真顔のお姉ちゃんの雰囲気は正直怖かった。




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