SET
「でも決勝で結果出さなきゃ意味ないじゃん……」
「まぁ、それは結果論であって、この経験を次につなげることが大事でしょ?私は、決勝で力を出し切るためにレースで駆け引きしてるけど、今日の涼風を見て、全レースを全力で乗り切る力が欲しいなって思ったよ。涼風の走ってる姿、羨ましいくらいかっこよかったもん」
かっこいい……か。
お姉ちゃんにそんな風に言ってもらえる日がくるなんて思ってもみなかった。
「お姉ちゃん!わたし、もっともっと練習して、体力つけて、自分に負けない選手になる!」
さっきまでのうじうじしたわたしとはおさらばだ。
「その意気よ。とりあえず、明日の200M勝負できるの楽しみにしてるからね」
「明日は今日みたいなヘマしないんだから。お姉ちゃん覚悟しててね」