SET

「はぁ……ま、いっか適当で」

「いや、適当はよくないだろう」


誰もいないと思っていたのに突然わたしの独り言にツッコみが入り、それと同時に他校のジャージが視界に入ってきた。


見上げると、そこにはやはり見たことない小柄な可愛い顔した男の子が立っていた。


「えーと……」

「そのテープちょっと貸せよ。あんたこの後200Mの決勝で走るんだろう?」

「あ、うん。どうしてそれを……」

「そんなこといいから、そのテープさっさと貸せって。あんたのやり方じゃ立つのも難しくなるぞ」

「え……っと、じゃあ、お願いします……」


とまどいながらも見ず知らずの男の子にテーピング用のテープを渡した。



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