消えた清水能舞台(A探偵団5)

矢文

○日ノ岡、疎水
   疎水の入り口。
   木村、高田、亜紀、お弁当を食べている。
   そこに山本、原田、太一があらわれる。

亜紀「どうだった?」
太一「すげえ、大洞窟!」
木村「そんなに大きいの?」

   原田、空気口を見つめている。
山本「前より数倍堀広げられている。ほぼ完成だ。
 後は爆破の仕掛けだけだ」

原田「ちょうど10歩ぐらいだ。こっち向きの穴は、
 この疎水の真下に来ている」 
高田「もう間違いないね。そんでいつやの?
 爆破の時て?」

   皆が固唾を飲んで山本を見つめる。
山本「まず祇園祭がすんで梅雨明け時の集中豪雨の日」
木村「ここの疎水も増水してすごいやろね」

原田「それで爆破はいつ?」
山本「南禅寺の水が止まった時」
高田「それやったら分かるわ」
   皆、うなづく。

○変面の里、全景

○広場
   10周年記念の垂れ幕。
   変面一味が祝宴をしている。
   全員ジョッキを持っている。
   あいさつに立つ変面。

変面「というわけで全てはこれからだ以上!へんめーん!」
全員「へんめーん!」
   全員、乾杯をする。

○清水寺、本堂
   住職と出羽、亀山が話している。
   住職、手に手紙を持っている。
住職「こんなのが来とりました」

   出羽、手紙を手にして広げる。
文字『水無月の長刀鉾に誘われて流れ去り行く清水能舞台』

出羽「いつのことです?」
住職「けさ、枕もとの柱に矢文が」

出羽「矢文?」
住職「ええ、かぶら矢というのでしょうか?ヒューと大きな
 音がして、悪い夢を見てたもので飛び上がりました」

亀山、白手袋をして経机の上にある矢を取り上げる。
亀山「これですか?」
   亀山、矢をかざして羽根に変面のマークを見つける。

出羽「まちがいない。やつらは本気だ」
亀山「祇園祭が終わったら厳重警戒ですね」
出羽「本部長にこれを見せてお願いしてみよう」

住職「よろしくお願いいたします。能舞台が流失する
 なんて事は絶対にないとは思いまするが」
亀山「しかし、金閣寺や渡月橋のことがありますから」

出羽「そうや、油断はでけん」
   3人、うなづく。

○フラッシュ、祇園祭、宵山の風景

○フラッシュ、山鉾巡行の風景

○フラッシュ、雨に咲くアジサイ
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