ごめんなさいねぇ
「そういやさ、知美ってお兄ちゃんいるんだよね、どうぉ?お兄ちゃんがいると家の中めちゃくちゃになる?」


「どうかなぁ〜?よくわからないけど・・・ずっと子供の頃から見てるし、あんなもんだと思っているから・・・。
あ、でもさ、前に付き合っていた彼はすっごかったよ!」

「すっごかったの?すっごく汚いの?」

「いや、違う。その逆だよ。
靴は脱いだらすぐにシューキーパーを装着!
あっという間にスーツはまっすぐハンガーにかかっているし、
部屋着とかも綺麗だったよ。」

「いいねぇ〜、なんにもしなくても綺麗なんだよね〜、
それにさ、知美が実家で彼が一人暮らしだから、知美はお客様でしょう?
なんだかいいなぁ〜、楽そう!」

夏子は自分で掃除しなくてもきちんとした部屋でくつろげる知美を想像して惚れ惚れした。

「いやぁ、私が気にしないように気をつければいいんだけどね、追いかける様に綺麗にされるとそれはそれで複雑なのよ。」

「なるほどねぇ。やってくれればいいってもんじゃないか。」

「そういうこと、まぁ、ねぇ、でもさ、別れた男の話を褒められても、どうでもいいよ。」

「ああ、そうね、すまん。」
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