ごめんなさいねぇ
「気軽に結婚してよなら、あたしゃ去年一年で四人言われたよ。」

「なにい?聞いてないぞ!なんでまたそんなに?」

「みんな本気で言ってないさ。結婚したくないよなぁ、出来ればさぁ、みたいな話を男友達としてると、最後には、『そうだよな、面倒臭いよなぁ、いちいち気にしたくないから俺と結婚しとく?』みたいな話だからね。内容は無いよ。」

知美の表情が明らかにつまらなそうだ。

「どうして?結婚したい女と結婚しようと言う男はおらんのかね?」

「知美はさぁ、結婚したい派だけど、結婚して何がしたいの?」

「えー、いいじゃん!結婚。楽しそうじゃん。周りもみんなしてるしさ。」

「みんなしてるってさ、あたしゃ知美の周りの人じゃないんかいな?」

「そうじゃ無くて、会社の後輩とかだよ」

先輩じゃなくて後輩かあ。
知美の会社、環境悪いのかなぁ。

愚痴る相手を間違えたかもしれないな。


「なんかさぁ~、いまひとつ幸せな家庭ってのがわからないで育ったから、なんでしなくちゃいけないのかわからないんだよね。」

夏子が言うと、

「え?そうなの?だってさ、夏子の家、両親揃っているし、そこそこいいじゃん!」

「いや、いりゃぁいいってもんじゃないよ。
昔の人ってさ、結婚したら憎みあいながらも添い遂げちゃう根性があるじゃん、
そこから生まれるストレスを発散しきれずに『子供の為に離婚も出来ない』なんて態度でいる人たちと生計を共にするのって結構地獄だわよ。」


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