ごめんなさいねぇ
「ふぅ~ん、そうねぇ、あたしさ、大学の時に両親が離婚してるのよ。だから今お母さんと二人暮らしなのね。
やっぱり親が離婚するまでにはすっごく色々あったから・・・
途中で死にたいとか思ったこともあるしさ。
結婚は大変だと思うけど・・・。
でも、家族は欲しい。」

「そのさ、漠然と『家族は欲しい』って言い切れちゃうってのが判らないのよ。間違った家族を持つほどきつい人生ないのよ。」

「え、でもさ、お母さんを安心させたいじゃん!がんばってるしぃ。」

「それもさぁ、不思議なんだよね~。
母親は結婚で苦労して苦労して子供に文句ばかり言って幸せそうな姿を一切見せないくせに、子供には『結婚しろ』って言うじゃない?!
姑が嫁いびりするのは他人だし、それなりのジェラシーや、嫁だった自分がいじめられていた歴史の憂さを晴らしてやろうっていう不道徳な根性があるわけでしょう?
だから、むかつくし、軽蔑するけど、流れとしては理解できるわけよ。
それがよ、自分の母親に『結婚しなさい』って言われるのってどうなのよ?」


半ばムキになる夏子に対し、知美は冷静に言い放つ。

「お母さんはさぁ、子供の幸せを願っているんじゃないかな?」



< 13 / 22 >

この作品をシェア

pagetop