ごめんなさいねぇ
「そこに疑問があるのよ!
子供の幸せは結婚をすることってのがおかしいよ!
子供に結婚することが幸せだと言いたいなら、自分が結婚して幸せだったと言葉にするなり、態度に表すなりすりゃいいじゃん。」

どんどんとムキになる夏子に対し、知美は淡々としている。

「自分は失敗したけど、娘は幸せになって欲しいという願望だよ。」

「そうかなぁ・・・願望は願望だろうけど、自分の体裁を保ちたいという願望のような気がしてならない!!」

なんだか仕事の後の癒し飲みのはずがこれでは脳みそフル回転だ。

「体裁かぁ・・・確かに。
基本的にはさ、親だから私の為になることを言っているんだろうなぁ~と、信じてはいるけど、時々思うよね、親の体裁か?って。
こないだもね、母親のお友達の娘さんが結婚するって聞いてさ、
『あなたはまだしないの?』とか聞かれたよ。
それって、ちょっと引っかかるもの有るね。」

「そうだよね~。『人は人!』とか言って自分を育てた人が、『あの子も結婚したけど、あんたはまだなの?』なんて聞いてくると、結構ムッっとするよね。」

少々興奮していた夏子も、知美の意見がちょっと自分に近寄ってきたのを感じて落ち着いてきた。

結婚したいのと、親の愛情と、親の世間体かぁ・・・

「はぁ、なんだか面倒くさいね。」

「本当にね。」

機関銃の打ち合いのように話し続けた二人はふと話を止め酒を飲み足した。
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